【1分で解説!】BASEで越境ECを始めるために知っておくべきこと
国内向けに作ったネットショップを、そのまま海外販売にも活用したい——そう考えたとき、まず候補に上がるのが「BASE(ベイス)」です。初期費用・月額費用ゼロで始められるBASEは、越境ECの入口として非常に使いやすい選択肢です。
BASEで海外販売を実現するには、大きく3つの設定が必要です。まず「送料詳細設定 App」で国別の海外送料を設定すること。次に「英語・外貨対応 App」でショップページを英語表示・外貨表示に切り替えること。そして「BASEかんたん決済」でPayPalなど海外対応の決済手段を有効にすること。
ただし、BASEはあくまで国内事業者向けに設計されたプラットフォームです。商品名や商品説明は自動翻訳されないため、英語での情報提供は出店者自身が対応する必要があります。関税の扱いや返品ポリシーの整備も欠かせません。本記事では、これらの設定手順と注意点を一つひとつ丁寧に解説します。BASEでの越境EC対応がどこまでできて、どこから先が課題になるのかを正確に把握したうえで、海外販売への第一歩を踏み出しましょう。
BASEの標準機能と越境EC対応の現状
BASEはもともと国内市場向けに設計されたネットショップ作成サービスです。月額費用なしで開設でき、売上が発生したときだけ手数料がかかる仕組みは、越境ECのテスト販売にも適しています。
ただし、標準機能のままでは海外販売には対応していません。海外の住所入力フォームが用意されていないため、そのままでは海外のお客様が購入手続きを完了できない状態です。また、ショップページはデフォルトで日本語のみの表示となっており、外貨表示にも対応していません。決済についても、国内向けのクレジットカード決済しか有効になっていない初期状態では、海外のお客様が利用しにくい状況です。
こうした課題をまとめて解消するのが、BASEのApps(拡張機能)です。必要な機能を追加インストールすることで、越境ECに必要な環境を段階的に整えることができます。2024年11月には注文画面が海外向けの住所表示に対応し、国ごと・エリアごとに分けた送料設定も可能になりました。さらに2026年3月には「かんたん海外販売」が標準機能として追加され、AIによる国判定で海外専用カートが自動表示される仕組みも整備されました。越境ECのハードルは着実に下がってきています。
「英語・外貨対応 App」の導入手順と自動翻訳の仕組み
インストールと基本設定の流れ
「英語・外貨対応 App」は、BASE管理画面のApps一覧からインストールできます。料金は無料です。インストールするだけで、ショップページ・カート・購入完了メールなどに表示される固定テキストが英語に切り替わります。
具体的には、訪問者のブラウザ設定が英語の場合、ショップページが自動で英語表示に切り替わります。もちろん日本語設定の訪問者には引き続き日本語が表示されるため、国内のお客様への影響は一切ありません。また、ショップ内に表示される言語・通貨切替メニューから、訪問者自身が好みの言語・通貨を選ぶことも可能です。
外貨表示については、34ヵ国の通貨に対応しています。米ドル、ユーロ、英ポンド、韓国ウォン、シンガポールドルなど、主要通貨はほぼ網羅されています。ただし、外貨表示はあくまで「概算表示」であり、実際の請求は日本円で行われます。為替レートは商品の発送ステータスが「発送済み」に変更されたタイミングで確定する仕組みです。購入者の支払いは日本円換算となる点を、ショップページ上で明示しておくことが重要です。
自動翻訳の対象と対象外
ここで注意が必要な点があります。英語・外貨対応 Appが英語化するのは、BASEが用意している固定テキスト(ボタンラベルやシステムメッセージなど)に限られます。出店者が自分で入力した商品名・商品説明・ショップ説明文などは、自動翻訳の対象外です。
つまり、海外のお客様に商品の魅力を正しく伝えるためには、出店者自身が英語の商品説明を用意する必要があります。英語が苦手な場合は、DeepL TranslatorやChatGPTといった無料の翻訳ツールを活用するのが現実的です。翻訳品質にこだわるなら、ネイティブチェックを外部に依頼する選択肢もあります。商品説明の質は購入率に直結するため、ここは手を抜かないことをおすすめします。
海外向け決済(PayPal等)の対応状況
BASEかんたん決済で有効にできる決済手段
海外のお客様が安心して購入できる環境を整えるには、決済手段の選択が重要です。BASEかんたん決済の設定画面から、以下の決済方法を有効にできます。
PayPal決済は、世界2億人以上が利用する国際的な決済サービスです。海外クレジットカードの利用にも対応しており、特にアメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなどへの販売時に有効です。PayPalを有効にした場合、自動キャンセルまでの期間が10日間となっているため、発送作業を迅速に行う体制が必要です。
Amazon Payも海外からの利用に対応しています。自動キャンセルまでの期間はPayPalより長い30日間です。銀行振込決済についても、海外からの送金は可能ですが、入金確認に時間がかかる点と、送金手数料は購入者負担となる点を事前に案内しておきましょう。
一点注意が必要なのは、BASEのクレジットカード決済では海外で発行されたクレジットカードが利用できないという制限です。PayPalやAmazon Payを組み合わせることで、この制限を補う形になります。
海外配送(EMS等)の送料設定と送り状の書き方
「送料詳細設定 App」による海外配送の設定
「送料詳細設定 App」をインストールすると、海外向けの配送方法と送料を設定できます。このAppは基本無料で利用でき、送料設定画面から「配送方法を追加」→「海外配送方法」を選択して設定します。
海外配送方法の名称はカート画面に表示されるため、「EMS」「DHL」など英語表記で設定することをおすすめします。送料の設定方式は「海外一律」か「地域別送料」の2択です。主要配送方法としては、日本郵便のEMS(国際スピード郵便)、ヤマト運輸の国際宅急便、DHL、FedExなどがあります。
EMSは日本郵便が提供する国際配送サービスで、追跡サービスつきで安心感があります。2万円までの保険が無料で付帯されており、その後2万円ごとに50円で上限額を引き上げられるため、保険コストも抑えられます。損害要償額の上限は200万円です。送料は配送先の国と荷物の重さによって変わるため、日本郵便の公式サイトで「EMSの料金表」を確認しながら設定しましょう。
送り状の書き方と必要書類
海外に荷物を発送する際、インボイス(商用送状)・パッキングリスト・税関告知書などの書類が必要です。インボイスには商品名・数量・単価・合計額・送り先と発送元の住所を正確に記載します。
HSコード(商品の国際分類コード)の申告も重要です。税関がこのコードをもとに関税を計算するため、正確な6桁コードを入力する必要があります。日本郵便の「国際郵便マイページ」を利用すれば、必要書類を自動出力できるため、はじめての海外発送にも対応しやすくなっています。住所は英語表記で、受取人の国・住所・氏名の順に記入します。
海外販売時の関税の注意点
基本的な考え方:DAP方式が一般的
越境ECで海外のお客様に商品を届ける際、ほとんどのケースで関税が発生します。国際取引では「関税は購入者(輸入者)が負担する」というDAP(Delivered At Place)方式が一般的です。BASEでの越境ECも、基本的にはこの考え方に沿います。
購入者が到着時に予想外の関税を請求されることでクレームや受取拒否が発生するケースも少なくありません。こうしたトラブルを防ぐためには、ショップページや商品ページに「海外発送の場合、配送先国の法規に基づき関税が発生することがあります」といった注意書きを英語で明記しておくことが重要です。
一方、販売者が関税を負担するDDP(Delivered Duty Paid)方式を選択すると、購入者にとって追加費用がなく、購入時の不安を取り除けます。カゴ落ち防止にも効果がありますが、販売者側の費用が増えるため、価格設定に織り込む必要があります。
EUへの販売時はVAT対応も必要
EU向けに販売する場合は、関税とは別にVAT(付加価値税)への対応が求められます。2021年7月のEU改正により、EU域外からの輸入貨物はすべてVATの課税対象となっています。150ユーロを超える取引には関税もかかります。EU向けに本格的に販売を展開する場合は、IOSS(Import One Stop Shop)への登録も検討が必要です。
こうした税制面の対応は専門知識が求められます。BASEの機能範囲を超えた領域であるため、越境ECに詳しい税理士や通関業者への相談も視野に入れておきましょう。
事例:「かんたん海外販売」を活用したショップオーナーの取り組み
BASE株式会社が2026年3月のプレスリリースで紹介した事例に、工芸品・ハンドメイドショップを運営するオーナーのケースがあります。
このオーナーは以前からInstagramのDMで海外のお客様からの問い合わせを受けていましたが、配送方法の複雑さや送料の高さがネックとなり、海外販売に踏み切れずにいました。「かんたん海外販売」を試したところ、国内配送とまったく同じ手順で販売できることに驚いたといいます。特別な設定が不要なうえ、手数料も許容範囲内と感じたとのことです。
現在はDeepLやChatGPTを使って商品ページを日本語・英語の2言語で記載し、SNS発信にも英語を取り入れながら、世界中のお客様へのアプローチを強化しています。
また同プレスリリースでは、作品販売ショップを運営するオーナーも紹介されています。HSコードの調査や送り状作成など、専門知識が必要だった作業を専門チームに委託できるようになり、国内販売と変わらない手軽さで海外販売に取り組めるようになったと語っています。「海外で発行されたクレジットカードでの決済が可能になってから、購入件数が格段に増えた」という実感も共有されており、決済手段の整備が購入率に直結することがわかります。
よくある質問(FAQ)
Q. BASEの「英語・外貨対応 App」だけで越境ECは完結しますか?
A. 残念ながら、このAppだけでは完結しません。越境ECを機能させるためには「送料詳細設定 App」による海外配送の設定と、「BASEかんたん決済」でのPayPalなど海外決済の有効化が必要です。また、英語・外貨対応 Appはショップの固定テキストを英語化するものであり、出店者が入力した商品名・商品説明・ショップ説明文は自動翻訳されません。DeepLやChatGPTなどを活用して英語の商品説明を準備することが、購入率を高めるうえで不可欠です。
Q. 海外のお客様が購入したとき、実際の請求通貨はどうなりますか?
A. 外貨表示は「概算を確認するための表示機能」であり、実際の請求は日本円で行われます。購入者の支払いは日本円に換算された金額となるため、表示通貨と実際の請求額に差が生じることがあります。この点は購入者に誤解を与えやすいため、ショップページ上で「決済は日本円での請求となります」と明示しておくことを強くおすすめします。為替レートは発送ステータスが「発送済み」に変更されたタイミングで確定します。
Q. 海外のお客様から関税のクレームが来た場合、どう対応すればよいですか?
A. まずは、そうしたトラブルを事前に防ぐことが最善策です。商品ページや購入ガイドに「海外発送の場合、輸入先の国の規定に基づき関税が発生することがあります。関税は購入者様のご負担となります」といった注意書きを英語で明記しておきましょう。それでもクレームが発生した場合は、翻訳ツールを活用して丁寧に事情を説明し、必要に応じてキャンセル・返金対応を行います。返品は国際配送のコスト面から難しいケースが多いため、返品ポリシーをあらかじめ英語で明記しておくことがトラブル縮小につながります。
まとめ:BASEで越境ECを始めるための3ステップ整理と、その先の課題
BASEでの越境EC対応は、3つのAppと設定を整えることで実現できます。「送料詳細設定 App」「英語・外貨対応 App」「BASEかんたん決済(PayPal等の有効化)」の3点セットがベースになります。近年は「かんたん海外販売」の標準機能化など、越境ECの入口としてのBASEの対応力は着実に向上しています。
ただし、BASEの仕組みを活用しながら越境ECを本格化させていくと、壁が見えてきます。商品説明の英語化は出店者自身の作業が必要で、手間と品質のバランスが課題です。決済においては海外発行のクレジットカードが直接利用できない制約があります。そして何より、ショップの言語対応は英語のみに限定されており、中国語や韓国語など多言語への対応は難しい状況です。
越境ECで特定の国・地域に本格的に踏み込もうとした際、「英語訳しただけ」のショップでは現地のお客様に響かないことも多くなります。現地の文化・表現・検索行動に合わせたローカライズされたページを作ることが、越境ECの成否を分ける重要な要素です。
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