海外進出マニュアル

サッカービジネスに学ぶ海外展開の要諦:英国の「質の高さ」と「文化の差」をどうマネジメントするか

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Leap 編集部
Leap 編集部
海外ビジネスのエキスパートチーム
サッカービジネスに学ぶ海外展開の要諦:英国の「質の高さ」と「文化の差」をどうマネジメントするか

サッカービジネスに学ぶ海外展開の要諦:英国の「質の高さ」と「文化の差」をどうマネジメントするか


永田様(Honrado International合同会社 代表)

学生時代から一貫して「スポーツ」と「海外」という2つの軸でキャリアを形成。オーストラリア留学中には、現地のビジネス文化に触れながら異文化適応能力を磨く。卒業後は、世界的に有名な英国サッカークラブのアジア総代理店を務める企業と連携し、8年以上にわたる信頼関係を構築。現在は、日本の小中学生を対象とした英国遠征や、英国チームを招致した日本国内での試合運営など、グローバルなスポーツ事業の最前線で現場統括を担っている。また、CM出演・フットサル開催・イベント開催といったスポーツ関連事業のほか、M&Aコンサルティングや各種紹介業も展開しており、各ビジネスでそれぞれのパートナーと提携している。


インタビュー:永田氏の歩みとスポーツ×海外の軸

海外でビジネスを展開しようとする際、語学力以上に求められるのが、異質な環境に飛び込み、そこで成果を出す適応力です。永田氏はその原点として、オーストラリア留学中のエピソードを挙げました。

バレンタインの日に、現地のイラン人オーナーから依頼され、町中で50本のバラをバケツに入れて販売した経験です。一見するとシンプルな物売りですが、見ず知らずの土地で現地のニーズを掴み、数時間で10万円以上の売上を立てたこの経験は、商売の本質が「場所」や「言語」を超えたところにあることを物語っています。また、英語の履歴書を100枚手に持って街中のローカルカフェに渡し歩き、仕事をゲットした経験も、氏の行動力と現地への飛び込み方を象徴するエピソードです。

現在はその経験を活かし、サッカークラブの保護者や指導者向けに、スポーツと海外教育の違いを伝える講演活動も行っています。日本の画一的な指導法とは異なる、海外の多様な価値観を伝えることで、次世代を担う子供たちの国際感覚を養う一助となっています。


パートナーシップを基盤とした英国サッカービジネスの構造

中小企業が海外進出を検討する際、自社単独でリソースを確保するのは容易ではありません。永田氏の事業において鍵となっているのは、長期的な信頼関係に基づくパートナーシップです。

事業の座組みとしては、英国の著名なクラブと提携しているアジア総代理店がハブとなり、永田氏が現場運営の実務を受託する形をとっています。ここで注目すべきは、永田氏が学生時代のアルバイト時代から数えて8年もの歳月をかけて、このパートナー企業との信頼を積み上げてきた点です。

大手クラブのブランド力を活用しながら、現場の細かなオペレーションを担う。この役割分担が明確であるからこそ、グローバルな規模感のプロジェクトを少数精鋭で回すことが可能になっています。


現場運営で直面する「サービスの質」と「国民性」のギャップ

海外ビジネスにおいて最も苦労する点は、やはり文化の差に起因するコミュニケーションと仕事への向き合い方です。永田氏は、英国のクラブやコーチとのやり取りの中で、日本との決定的な違いを痛感しています。

例えば、日本の指導現場では事前に細かなタイムスケジュールや練習メニューが組まれているのが通例ですが、英国側は非常にざっくりとした計画で進め、その場の流れや状況で判断することが多いといいます。これはサッカーに限らず、多くの海外ビジネスシーンで見られる「柔軟性」と「計画性の欠如」の裏返しでもあります。

特に実務面での不備は顕著です。現地で発注したユニフォームが指定の時間に届かない、名前が間違っている、ロゴが剥がれやすいといったトラブルは日常茶飯事です。日本の「当たり前」のサービスレベルを基準にすると大きなストレスになりますが、これこそが海外展開におけるリアルな現場の姿です。

こうした状況を乗り越える上で永田氏が強調するのが、コミュニケーションの取り方です。海外では阿吽の呼吸や行間を読む文化は通用しません。自分の意思をしっかりと言語化し、ハッキリと表現することが不可欠です。「日本人は何を考えているかわからない」と言われることも少なくなく、明確な自己表現こそが信頼構築の第一歩となります。

また、英国人特有のユーモアにも慣れが必要です。自分の弱いところを敢えて曝け出し、嫌味っぽく笑い飛ばす「皮肉と自虐のユーモア」は、イギリス人のコミュニケーションにおける余裕の表れです。このセンスを理解し、対応できるかどうかが、現地との関係構築において大きな差を生みます。


日本の常識を捨て、現地の強みを最大化させるマネジメント

一方で、永田氏は英国の持つ圧倒的な強みも強調しています。施設やトレーナー、コーチの質に関しては、日本の追随を許さないほどのプロフェッショナリズムとクオリティを誇ります。

運営や物流、事務作業といった周辺業務には課題があっても、プロダクト(サッカー指導や環境)の核心部分は超一流である。このコントラストを理解することが、マネジメントの要諦です。永田氏は、現場に派遣するコーチ、トレーナー、通訳、さらには食事や宿泊管理を担うスタッフに対し、現地の文化をあらかじめ教育し、日本側の基準と現地側の実情を橋渡しする役割を徹底しています。

相手に日本式の完璧さを求めるのではなく、相手の強みである「質の高いコンテンツ」を活かすために、こちら側が現場の不備を補完し、調整役に徹する。この割り切りこそが、グローバル事業を円滑に進めるための知恵といえます。

そしてもう一つ、永田氏がプロとして大切にしているのが「プロフェッショナルの見せ方」です。いつ何時何が起きても動じないこと。常に最低・最悪の状況を想定した上で、笑顔と余裕を崩さず、「全て任せろ」という姿勢を保ち続けること。内心焦っていても、それを表に出さず、相手と対等なスタンスで自分の意思を主張し続けること。この姿勢が、海外の現場において相手からの信頼と敬意を勝ち取る鍵となっています。


まとめ:海外進出を志す中小企業への示唆

永田氏の経験から学べるのは、海外ビジネスとは「文化の衝突を管理するプロセス」そのものであるということです。

  1. 長期的なパートナーシップの重要性 信頼は一日にして成らず、時間をかけて構築した関係がリスクヘッジになる。
  2. 強みと弱みの峻別 現地のコアな価値(技術やコンテンツ)を認め、それ以外の細かな不備は自社のマネジメントでカバーする。
  3. 日本基準の脱却 サービスや納期に対する「日本の常識」を一度捨て、現地の流れに合わせながら着地点を見出す。

今後はサッカー英語のYouTube発信など、さらなる展開を見据える永田氏。その視線は常に、スポーツという共通言語を通じて、日本と世界の壁を低くすることに向けられています。海外展開を目指す企業の担当者にとって、現地でのトラブルを「笑い話」に変えられるほどのタフさと、相手の核心部分を尊重する姿勢こそが、成功への第一歩となるはずです。

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