【1分で解説!】タイ進出に必要な知的財産とブランド保護の基礎
タイはASEAN第2位の経済規模を誇る成長市場で、多くの日本企業が進出を目指しています。しかし、現地で自社ブランドや技術を守るには、特許・商標の登録と模倣品対策が必須です。本記事では、タイで特許や商標を取得する手順やポイント、さらには税関登録や警察協力による模倣品対策など、具体的な事例も交えて解説します。例えば、日本のベアリングメーカー・ジェイテクト社は現地警察や知財局(DIP)と連携し、KOYOブランドの偽造ベアリングを大量摘発した実績があります。タイ進出の際は、事前に知財権を確実に登録し、万一の侵害時には迅速に対策を講じることが成功の鍵となります。Leapでは、多言語ホームページの作成や海外代理店マッチングなどで企業の現地展開をワンストップ支援します。
タイの知財環境とIP取得の重要性
タイ政府は知的財産保護を重視しており、特許・商標制度の整備を進めています。タイ知的財産局(DIP)は2024年から特許の早期審査対象技術を拡大し、2026年1月には電子商取引用商標やデジタル技術特許、自動車部品デザインを対象とした「Fast Track Plus+」サービスを導入しました。これにより、例えばEC事業者向け商標出願は出願から約4ヶ月で初回審査が完了するなど、迅速な権利取得が可能となっています。またタイはパリ条約・PCT(特許協力条約)・マドリッド協定にも加盟しており、日本での出願を起点にタイで権利を取れる制度が整っています。日タイ間では特許審査ハイウェイ(PPH)制度も実施されており、2026年1月からは実施期間が2年間延長されました。日本で審査をクリアした特許出願をタイに申請することで、タイでの審査を大幅に短縮できる見通しです。こうした制度を活用しつつ、現地での知財権確保を図ることは、ブランド価値の維持・向上や消費者信頼獲得のために不可欠です。
国際特許(PCT)出願とタイ国内特許取得
PCT出願経由
日本企業がタイで特許を取得する場合、PCTルートを利用できます。日本での出願を基礎としてPCT国際出願し、最長30ヶ月以内にタイ国内手続に移行します。この際、最初の出願日(優先日)をタイでも保持できるため、開発の早期段階から戦略的に権利化を図れます。出願言語は基本的に英語(または日本語)で可能ですが、タイ語翻訳の補完提出(出願日から通常90日以内)が必要です。タイ国内に進むと、知財局は先行技術や既登録商標のサーチを丁寧に行い、審査に2~4年程度かかることが多いと言われています。
タイ国内出願
直接タイ国内で出願する場合、英語や中国語で書かれた明細書でも受け付けられますが、やはり90日以内にタイ語訳を提出する制度があります。外国企業はDIP登録の弁理士を代理人に立てる必要があり、公証人認証済み委任状を提出します。出願後は方式審査(様式チェック)と実体審査が行われます。実体審査では、発明の新規性・進歩性に加え、先願主義で他者権利との抵触がないかも厳しく審査されます。不備通知や拒絶理由が出た場合は60日以内に応答し、明細書や請求項の修正・補正を行います。審査請求(審査の申請)には公開日から5年以内の期限があり、これを過ぎると出願が取り下げ扱いになります。なお、JPOとのPPHが利用できるため、日本で特許を取得した事例を活用してタイでの審査を急ぐことも可能です。
タイ商標登録の流れとポイント
商標登録は、まず**DIP(Department of Intellectual Property)**への出願から始まります。ポイントは以下のとおりです。
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出願準備: 出願書類はタイ語で作成し、5×5cm程度の商標見本、指定商品の具体的リスト(Tシャツ、化粧品など個別の商品名)を添付します。タイでは包括的な商品カテゴリー表記は認められず、できるだけ詳細に記載する必要があります。英語で考案した商標でも、現地で使用される場合はタイ語表記も別途登録しておくと安心です。外国人出願人は現地代理人を通して申請し、公証済委任状をPDF送付するのが一般的です。
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方式審査: 書類不備などがないかチェックされ、指摘があれば60日以内に修正します。
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実体審査: 審査官が商標の識別力や先願商標との類否を審査します。タイ知財局は過去登録やネット情報も含め広範な調査を行うため、しばしば拒絶理由が通知されます。通知が来た場合は、60日以内に指定商品・役務の限定や意見書提出などで応答します。商標名が一般的表現の場合は、独自性を高める工夫や除外条項(ディスクレーム)の追加で克服する場合があります。
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公告と異議: 審査をクリアした商標は官報に掲載され、公告日から60日間は第三者による異議申立てが可能です。異議が出た場合、出願人は60日以内に回答書を提出しなければ申請は取り下げ扱いになります。最終的に異議がなければ登録手続きに移り、登録料納付後に電子証明書が発行されます。登録後の保護期間は原則10年(以降更新可)です。
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Fast Track制度: 前述のとおり、DIPの「Fast Track Plus+」を利用すると対象案件の審査期間が大幅に短縮できます。特に電子商取引用商標は迅速審査対象に含まれており、出願から数ヶ月以内に審査結果を得ることも可能です。
これらの手続きを通じて商標が登録されれば、タイ国内でのブランド独占権を得られます。商標は10年ごとに更新できるため、現地で長期的にビジネスを展開する企業にとって必須の手続きです。また、商標登録によって模倣品対策やブランド価値維持の土台が築かれるため、越境ECや代理店販売などのチャネル開拓にも有利に働きます。
ブランド保護戦略:侵害対策と監視
商標登録後も、実際にブランドを守るための対策が欠かせません。タイでは法的に商標権侵害に対する刑事罰(懲役・罰金)や民事措置が整備されていますが、まずは事前登録制度などで水際防御を強化しましょう。2022年からタイ税関の登録制度が改正され、商標権者はDIP経由ではなく直接税関へ登録申請できるようになりました。これにより、偽造品が輸入された際に税関で差し止めや押収がしやすくなります。なお、旧制度でDIPに登録していた情報は有効期限が切れているため、早めの再登録が推奨されます。 対策としては、以下が挙げられます:
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税関・警察への告知: 商標登録後は、税関に商標情報を登録し、輸入段階で偽造品を差し止める水際対策を行います。また、模倣品を発見した場合にはタイ経済犯罪抑制局(ECD)や警察に通報し、刑事告訴も検討します。日本企業と協力して摘発例を積み上げることで、効果的に侵害を抑止します。
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オンライン・モニタリング: タイ市場のECサイトやSNSを定期的に監視し、不正販売を早期発見します。発見時はプラットフォーム運営者に通報して削除依頼を行い、必要に応じて現地弁護士と連携して差止訴訟を行います。タイ国内では知財専門裁判所がないため、DSI(経済犯罪組織犯罪捜査局)と協力した訴訟も重要です。
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摘発事例の連携: 実例として、JTEKT社(ベアリング製造)が2024年にタイ当局と共同で実施した摘発では、KOYOブランドの偽造ベアリング数千点が押収され、その後メーカーと業者の和解が成立しました。
こうした成功例では、メーカー自身が立ち会って証拠収集し、税関・警察・知財局が連携して迅速に対処しています。その他、多くの日系企業が税関への事前届出などを通じて越境での模倣品輸入を防いでいます。
これらの対策を組み合わせることで、知財権を確実に守り、模倣品によるブランド毀損リスクを最小化できます。タイ市場で信頼を築くには、登記だけで安心せず、継続的な監視・対応を心がけることが重要です。
よくある質問(FAQ)
〖質問〗タイで商標登録する基本的な手順は?
タイでは、DIPへの申請から登録証発行まで一連の手順があります。まず現地代理人を通じて出願書類(タイ語)を提出し、形式審査・実体審査を受けます。審査をクリアすれば官報公告の後、異議申立て期間(60日)を経て登録となります。実務的には、「出願→方式審査(60日対応)→実体審査→公告→登録料納付」という流れです。必要に応じて補正や意見書提出を行い、登録可能な形に整えます。また海外商標一括管理のマドリッド協定ルートも利用でき、併用することで審査・維持管理の効率化が図れます。
〖質問〗商標登録にかかる期間はどれくらい?
通常、出願から登録まで約10~14か月程度が目安です。形式審査通知までは数週間、実体審査通知までは通常4~6か月、登録証発行までさらに公告期間(2か月)が必要です。早期審査サービス(Fast Track)を利用すれば、最初の審査通知を出願から4か月以内に受け取ることも可能です。ただし、拒絶理由が出た場合は対応に時間がかかり、トータルで1~2年程度になることもあります。対応期間(異議・補正対応)を見越して余裕を持って計画しましょう。
〖質問〗タイで模倣品が見つかったらどうすればいい?
まずは登録済み商標を活用し、税関への事前登録や警察への通報を行います。税関登録があれば輸出入時の差止めが可能になり、発見時は直ちに税関やDIPと連携して差止め請求をします。発見した模倣品は証拠確保し、現地弁護士と協力して警察(またはDSI)への告訴や民事訴訟を検討します。場合によっては侵害業者との和解交渉も行われます。オンライン販売の場合は、ECサイト運営者に連絡して商品ページを削除させる方法も有効です。例えばジェイテクト社は業者と和解するまで刑事訴訟を進め、模倣品販売の差止めと損害賠償で有利な条件を勝ち取っています。これらの例からも、速やかな対応と現地機関との連携が重要だとわかります。
まとめ
タイ市場でブランドを守りながらビジネスを拡大するには、早期に特許や商標を取得し、継続的にモニタリングを行うことが欠かせません。商標登録はドメイン取得やEC進出にも有利であり、特許は技術競争力を示す要素になります。タイのDIPはFast Track制度や国際協定を積極的に活用しており、これらを味方につければ迅速かつ効率的に知財保護が実現できます。Leapは、多言語ホームページ作成・コンテンツ制作・越境EC開設などを通じて、現地でのブランド浸透と知財管理をワンストップで支援します。この記事で得た知識を武器に、ぜひ安心してタイ進出の戦略を練り、Leapのサービスでその第一歩をサポートしてください。