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タイ進出のための会社設立マニュアル:BOI認可取得のメリットと手続き

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Leap 編集部
Leap 編集部
海外ビジネスのエキスパートチーム
タイ進出のための会社設立マニュアル:BOI認可取得のメリットと手続き

タイはASEANで3番目に経済規模が大きく、日本企業にとって重要な事業拠点です。人口約6600万人の大市場であり、自動車や電子機器などの工業が集積しています。現地法人を設立すれば、タイ国内市場へのアクセスだけでなく、FTAや東南アジア域内のサプライチェーンも活用できます。会社設立の手順は、商号予約や定款登録、設立総会、最終登記の4ステップです。さらに、「BOI認可」を取得すると法人税や輸入関税が免除されるなど多くの優遇措置を受けられるため、タイ進出の費用対効果が向上します。本稿では、会社設立の手続きとBOI認可取得のメリット・手順を詳しく解説し、実例も交えてタイ進出をサポートします。

タイの投資環境と事業拠点としての魅力

タイはASEAN第3位の経済規模を誇り、製造業・サービス業など多様な産業が発展しています。特に自動車産業では「アジアのデトロイト」と呼ばれるほど日系メーカーが多数進出しており、電子機器や食品、化学品などの分野でも日系サプライチェーンが構築されています。また、2024年時点でタイに進出している日系企業数は6,000社を超えており、多くの日本企業が東南アジア戦略の拠点としています。地理的にも、中国・インドといった巨大市場や他のASEAN諸国と近接し、輸出ハブとしての利便性が高いです。さらに、東部経済回廊(EEC)開発や日本タイEPA、RCEPなどのFTAにより、今後も事業環境は拡充が見込まれます。

会社設立手続きの流れ

タイで現地法人(タイ法人)を設立する際は、民商法典に基づき基本的に次の4ステップを踏みます。

商号の予約:発起人がDBD(商務省事業開発局)に会社名を申請し、既存商号との類似がないか確認します。通常、申請即日に許可が下り、有効期間は30日間です。

定款の登記:最低2名以上の発起人が各自の出資額を定款に記載して署名し、基本定款を登記します。登録資本金や事業目的、発起人情報、会社所在地などが必要で、登録料は500バーツです。なお、2023年の改正で発起人および株主は最低2名から設立可能となりました。

設立総会の開催:引受株式の払込後、発起人は設立総会を開き、付属定款の承認や取締役・監査人の選任、引受株式のリスト承認などを行います。タイでは規模にかかわらず会計監査が義務づけられるため、監査人(タイの公認会計士)の選任が必要です。

最終登記:設立総会後、取締役は株主に最低25%以上の出資金払込を要求します。払込後、取締役は会社設立を登記申請し、登録料5,000バーツを支払います。設立総会開催後3か月以内に登記が完了しないと会社は設立できない点に注意が必要です。支払済資本金は25%以上が原則ですが、外国人の労働許可取得には1名あたり最低200万バーツ(約7,000万円)が必要です。

登記完了後、商務省事業開発局が発行する13桁の企業IDが税務IDとなるため、追加の税務登録は不要です。なお、2026年1月1日以降は全登記手続きがオンライン化され、DBDの「DBD BizRegist」システムを通じて行われる予定です。

BOI(タイ投資委員会)制度とは

BOI(Board of Investment)はタイ政府の投資促進機関で、外国・国内の投資家に対し税制優遇や規制緩和などの奨励措置を与える仕組みです。タイ進出時にBOIの認可を得ると、通常の外資規制を大幅に緩和する多数の特典が受けられます。BOIの本部は首相府傘下にあり、日本にも東京・大阪オフィスが開設されています。日本語のガイドブックも用意されており、申請時の相談や手続きは日本語でも行えるため、日系企業にとって利用しやすい制度です。

BOI認可取得のメリット

BOI認可を取得すると、タイ進出企業は次のような大きな優遇措置を享受できます:

  • 外資100%出資が可能:通常外資株比率制限のある業種でも、BOI認定事業であれば全額外資で会社設立できます。
  • 法人税・関税の免除・軽減:典型的には法人税が3~8年免除され、その後5年は50%減免されます。輸入機械や原材料への関税免除も受けられます。
  • 土地取得の特例:外国資本でもプロジェクト用地の購入が認められます。通常、外国企業による土地所有は厳しく制限されていますが、BOI認可を得るとこの制限が解除されます。
  • ビザ・労働許可の取得が容易:タイ人5名以上雇用などの条件なしで外国人役員・技術者の就労ビザ・就労許可が取得できます。また「外国人1名に対しタイ人4名」雇用の義務が免除されます。
  • その他の支援:研究開発やトレーニング支援、公共インフラ整備支援などの優遇策もプロジェクトに応じて利用可能です。

これらのメリットにより、BOI企業は租税負担や現地規制面で通常企業より大きな自由度を得られます。ただし、対象事業分野や必要投資額(最低100万バーツ以上)には条件がありますので、申請前に対象業種と条件を正確に確認する必要があります。

BOI認可申請の手続き

BOI認可の申請手続きは主にオンラインで行い、投資計画に沿った書類提出と審査を経て認可証(奨励証書)を取得します。おおまかな流れは以下の通りです:

  1. 申請書の作成・提出:投資事業計画書を英語またはタイ語で作成し、BOI本部(タイ)やBOI海外オフィス(東京・大阪)に提出します。申請時には登録資本の4分の1以上(事業目的による)が入金されている必要があります。
  2. 担当官との面談:書類審査後、BOI担当官とのインタビュー(主に投資背景や事業内容の確認)が実施されます。指示を受けた企業は通知後2週間以内に面談日時を設定し、英語またはタイ語で説明を行います。
  3. 審査・結果通知:投資規模に応じ審査期間が異なり、2億バーツ以下なら約40営業日、2億~7.5億バーツなら60営業日以内が目安です。審査通過後、付与される優遇内容と条件が記載された通知書が届きます。
  4. 奨励証書の申請・取得:通知書の内容に同意し所定の書類を提出してから180日以内に奨励証書発給申請を行います。認可が下りると、証書発給日が優遇措置の開始日となり、実質的に権利が確定します。
  5. 操業開始:BOI認可後36カ月以内に事業を開始する必要があります。操業開始後は決算データなどを提出して法人税免除申請などの措置を活用します。

以上の手順でBOI認可を取得できれば、登録資本金100%払い込みなど条件を順守しつつ、上記の優遇措置を享受できます。申請書類は詳細な事業計画や各種証明書を要するため、専門家の支援を受けて正確に準備することが重要です。

タイの税制・法制度の要点

タイの法人税率は2016年以降一律20%です(2023年以降も20%)。企業は年1回の法人税確定申告のほか、中間申告(事業年度6か月経過後60日以内)も必要です。付加価値税(VAT)は7%(法律上は10%だが政令で7%に引き下げ)で、物品輸出は0%課税です。源泉税として、海外からの配当金送金時に10%(※配当保有率25%超は免除)、利子や使用料は15%が徴収されます。日・タイ租税条約により、配当・利子の源泉税率は最大10-15%に軽減され、実効税率の低い方が適用されます。タイに支店を持つ外国企業は、支店の利益分配時に追加で10%課税されます。

外資規制面では、タイ外国人事業法により業種別の制限があります。通常、外国人の株式比率50%以上で規制業種を行うには外国人事業許可証(FBL)が必要です。しかしBOI認可企業はFBLを回避でき、BOI認可に基づく外国人事業証明書(FBC)が与えられます。これにより、本来認められないサービス業種などでも許可された範囲内で事業が可能となります。製造業や輸出産業など多くの業種はそもそも制限外ですが、FBC取得で輸入小売業など条件付きで外資化できる分野への参入も容易になります。こうした税制・法制度の理解は、最適な進出形態と戦略を考える上で必須です。

FAQ(よくある質問)

Q: BOI認可を取得する最大のメリットは何ですか? A: 最大のメリットは多くの優遇措置が受けられる点です。前述のように、BOI認可により法人税免除、輸入関税免除、外資100%認可、土地所有許可、ビザ・労働許可要件の緩和などが得られます。これにより、タイでの操業コスト・リスクを大幅に軽減できます。

Q: BOI申請にはどの程度の投資額が必要ですか? A: 最低条件として、投資額100万バーツ以上が目安とされています。さらにBOI承認前に会社の登録資本金の25%(または業種により1/4)を払込んでおく必要があります。たとえば1,000万バーツ資本金の場合、最低250万バーツが申請前に入金されている必要があります。

Q: BOI認可なしでもタイで会社は設立できますか? A: できます。BOI認可のない通常のタイ法人は、法人税率20%や外資株比率規制(必要に応じてFBL取得)などの一般ルールが適用されます。ただし、外資50%以上の事業ではFBL取得が必要となるため、業種によってはBOIやIEATの認可取得が戦略的に重要です。BOI認可を受けなくても設立可能ですが、前述の優遇措置は受けられません。

まとめ

タイは地理的・経済的に有利な拠点であり、適切な準備で大きなビジネスチャンスを掴めます。会社設立手続きは定款登記や設立総会など手順に従って着実に進める必要がありますが、BOI認可を活用すれば税制優遇や外資規制回避などの強力なサポートを得られます。当社Leapのプラットフォームでは、タイ向けの多言語サイト作成や現地代理店マッチング、越境EC運用、SNS自動翻訳など多彩な機能を提供し、進出準備から現地運営までワンストップでサポートします。豊富な実績を持つLeapのサービスを活用し、タイ進出の成功をぜひ実現してください。


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