国・地域別情報

マレーシア進出に必要な知財・ブランド保護の基礎

読了時間: 約 9.822分

Leap 編集部
Leap 編集部
海外ビジネスのエキスパートチーム
マレーシア進出に必要な知財・ブランド保護の基礎

マレーシア進出に必要な知財・ブランド保護の基礎

マレーシアは近年、外国企業の投資誘致と知財保護の整備を進めています。商標や意匠の出願は英語またはマレー語で行い、2019年以降はマドリッド協定議定書(マドプロ)による国際出願でも指定可能です。商標は出願から登録まで約1年程度、登録後の保護期間は10年(更新可)です。意匠は登録日から初回5年(更新可)で最大25年保護され、世界的な新規性が要件となります。

また、漢字を使った商標にも高い保護が認められる事例があります。例えば「養命酒」事件では、中国語のラテン文字表記が付加された商品名でも、日本語漢字「養命酒」と同一商標と認められ、マレーシア最高裁で権利が維持されました。こうした判例からもわかるように、マレーシアでは現地消費者による誤認や混同のおそれが重要視され、外国語や漢字であっても利用状況次第では商標権が強力に保護されます。


マレーシアの商標登録手続きと注意点

出願準備(言語・区分)

出願は英語またはマレー語で行います。日本語など非ラテン文字を含む場合は、文字の翻字・翻訳・音訳を添付する必要があります。2019年の改正で1出願多区分制が導入され、複数区分を1出願で申請できます。ただし、区分を増やすごとに出願費用も増加します(1区分あたりRM950=約25,000円程度)。外国出願の場合はマレーシア現地の代理人が必要です。

審査プロセス

提出後は形式審査と実体審査が行われ、4~6か月程度で審査通知が届くのが一般的です。拒絶理由があれば通知日から4か月以内に対応します。2019年改正で審査官への意見書提出は1回のみとなり、その後の判断に不服があれば高等裁判所へ提訴できます。登録決定後は公報に掲載され、2か月間の異議申立期間を経て正式に登録証が発行されます。

商標審査の留意点

現地で一般的な表現や英訳だけでは識別力が弱いと判断されやすく、拒絶されることがあります。例えば、日本語の企業名などを英訳しただけの標章は、商品説明的(記述的)と判断される場合があります。逆に、マレーシア人消費者に意味が通じない外国語表記(例:日本語で「香り」を意味する「KAORI」)は「造語」と判断され登録が認められるケースもあります。出願前に現地事情を確認し、専門家と相談することが成功のカギです。

手続き・費用のポイント

商標出願料は1区分あたりRM950(約25,000円)です。審査加速制度(SG Trade Marks Fast)があり、追加料金で出願から数週間以内に初回審査を受けることも可能です。登録後は10年ごとにRM1000で更新できます。不要となった出願の取り下げもできますが、出願費用は原則返還されません。


寿司チェーン「すしざんまい」の商標紛争

日本の有名寿司チェーン「喜代村」がマレーシアで「Sushi Zanmai」の店名使用を差し止めようとした訴訟では、現地で「Super Sushi Sdn. Bhd.」が先に商標登録を取得していたため、日本側は高等裁判所で敗訴しました。このケースは、海外展開時に現地での商標出願を怠ると、同名の現地事業者によって権利を奪われうる典型例です。進出前に必ずマレーシアでの商標登録を検討し、早期に出願しておくことが重要です。


マレーシアの意匠登録手続きと注意点

登録対象と保護期間

意匠(Industrial Design)は製品の形状や模様の外観的特徴を保護する権利で、マレーシアでは初回保護期間が出願日から5年、以降4回まで延長でき、合計最大25年まで保護されます。意匠登録によって、同一または類似のデザインの模倣生産を防ぎ、製品の独自性を確保できます。

新規性と出願タイミング

マレーシアでは世界的な新規性が求められるため、出願前に同一意匠が公知になっていないことが必要です。公開前に必ず出願を済ませるようにしましょう。展示会など公式の場での公開は、6か月前までなら例外的に公開情報とみなされない特例(グレースピリオド)があります。

出願手続き

出願書類として意匠図面(JPEG等)や商品の写真、指定商品のクラス、意匠の説明などを提出します。パリ条約の優先権主張が可能であれば、出願から6か月以内に権利を主張できます。手続期間はスムーズに進めば出願から登録まで約9~12か月かかります。

施行例と注意点

例えば日本の工業デザインメーカーがマレーシア進出する場合、製品発売前にデザイン出願を済ませることで、類似品の模倣製造に対する差止めや損害賠償請求が可能になります。出願前の公表は避け、海外出張時にも機密保持に注意しましょう。


商標・意匠権侵害への対応とブランド保護

マレーシア市場でブランドを守るには、まず権利取得が前提です。商標や意匠を確実に登録した上で、次のような対策を講じましょう。

税関等での偽造品差止め

登録商標はマレーシア税関に記録登録しておくと、輸入貨物の段階で海賊版や偽物を差し止められます。輸入時の水際対策は有効です。

監視・通報

越境ECサイトやSNSで自社ブランドやロゴが不正に使われていないか、定期的にチェックします。不正販売を発見したら、サイト運営者に利用停止を依頼し、場合によっては現地弁護士と連携して法的措置(警告状送付や民事訴訟)を検討します。

訴訟・救済措置

商標法や不競法に基づき、侵害行為を民事訴訟で差し止めることができます。例えば前述の寿司チェーン訴訟では、日本語の広告使用を不競法違反と訴えました。また、マレーシアでは刑事罰(罰金・懲役)も規定されているので(商標法第56条~)、悪質な業者には告訴も選択肢です。

権利維持と強化

出願・登録後も、3年以上使用されない商標は取消される可能性があるため、現地で実際に使用・広告展開を行い、権利を活用しましょう。反対に、著名商標であれば、類似使用に対する差止め請求も可能です。Yomeishu事件のように、マレーシア法廷は漢字商標の使用を不正競争として厳しく取り締まる判断例があります。

適切な事前調査と継続的な権利管理を行うことで、マレーシア市場でのブランド価値を高めつつ侵害リスクを軽減できます。Leapではこうした知財保護の実務支援だけでなく、現地代理店のマッチングや多言語マーケティング支援も行っていますので、海外担当者の皆様はぜひご活用ください。


よくある質問(FAQ)

質問:マレーシアで商標登録する基本的な手順は?

回答: IPOS(マレーシア知的財産庁)のオンラインシステムで申請します。商標と商品・役務リスト、出願人情報などを英語で提出し、必要な手数料(1区分約RM950)を納付します。日本で先に出願している場合は、6か月以内なら優先権主張で同日付出願にできます。申請後は形式・実体審査を経て公報に掲載され、異議申立期間を経て登録となります。不安があれば、現地事情に詳しい弁理士へ相談しましょう。

質問:商標登録にかかる期間はどれくらい?審査が通らなかった場合は?

回答: 通常は出願から登録まで約9~12か月程度です。出願後約4~6か月で審査通知が来て問題なければ2か月の異議期間を経て登録証が発行されます。拒絶理由が出た場合は通知から4か月以内に意見書提出や書類修正で対応します。異議や他社の紛争があれば手続きが延びることもあります。

質問:商標登録後にマレーシアで問題が起きたらどうする?

回答: まず登録商標を税関に記録し、偽物の輸入を防ぎます。侵害品が見つかったら現地弁護士と協力し、警告状送付や差止請求訴訟を検討します。EC・SNS上の不正使用は速やかにサイト運営者に通報・削除依頼し、ブランド価値を守ります。訴訟には証拠や消費者への影響を示す資料が重要ですので、販売実績やキャンペーンデータなどを準備しておくと効果的です。


まとめ

マレーシア市場で安定してビジネスを拡大するには、現地の知的財産制度に精通し、きめ細かな権利戦略を立てることが不可欠です。商標・意匠を確実に登録した上で、税関対策や監視体制、必要に応じた法的措置を組み合わせれば、ブランド侵害リスクを大幅に低減できます。Leapでは多言語HP・コンテンツ制作、越境EC支援、SNS運用などを通じて、現地市場でのブランド構築と保護をワンストップでサポートしています。この記事でご紹介したポイントを踏まえ、ぜひLeapのサービスもご活用いただきながら、マレーシア市場でのビジネスを着実に前進させてください。


参考資料・出典一覧(情報元)

この記事をシェアする

Leap global business

Leapでグローバルに
飛躍しましょう。

海外売上を伸ばすためのオールインワンツール

多言語HP作成、越境ECの開設・運用、多言語コンテンツ制作、海外向けSNS運用、そして現地の代理店マッチングまで。
Leapなら、複雑な海外展開のプロセスを一元管理し、効率的に海外売上を拡大させることができます。

リンクをコピーしました